海外小説を読む楽しみ編

公開日: 更新日:

 国籍が異なれば、当然、感性も異なる。そんな物事や人生を捉える視線の違いを味わえることも海外文学を読む楽しみのひとつだ。今回はカナダ、イタリア、オーストラリア、フランス、イギリスとそれぞれ出身が異なる5人の作家の作品を紹介する。

■「みんなバーに帰る」パトリック・デウィット著、茂木健訳

 主人公の「君」は、ロサンゼルス・ハリウッドの場末のバーで補助スタッフとして働いている。出勤してまずはクレイモアを一杯ひっかけるのが日課の「君」は、毎夜、泥酔状態で車を運転して帰宅するが、パトカーに捕まったことがない。

 愛車の71年型フォードLTDが持つ不思議な力のおかげだと信じている。妻の目を盗み、アスピリンをむさぼるように食い、酒浸りの日々を送りながら、「君」は常連客の相手をする。従業員の大半が、仕事中にコカインをやっているが、就職以来、「君」は一度もやっていない。しかし、ある晩、酒を飲み過ぎた君は、ついにコカインに手を出してしまう。

「シスターズ・ブラザーズ」の著者が、斬新な描写でバーに通う人々の酔態をスケッチしながら、主人公の転落を描いたデビュー作。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」