「全電源喪失の記憶」共同通信社原発事故取材班、高橋秀樹編著
そのニュースを聞いた誰もが青ざめた「福島第1原発、全電源喪失」。地震発生当初、原子炉は緊急停止したが、所内の制御室にいた職員は落ち着いていたという。ところが非常用ディーゼル発電機が次々に停止し、非常時に陥る。しかし、窓もテレビもない制御室では外界の様子が一切わからない……。
こんな緊迫した情景から始まる本書は事故当時の様子を関係者に徹底取材した執念の成果。特に東電本店の無理解と無策ぶりには、読者としてもあらためて腹が立つ。(祥伝社 1700円+税)