「反国家のちから」鎌田慧著

公開日: 更新日:

 2014年5月、福井地裁が〈大飯原発差し止め判決〉を出した。判決のとき、被告席にも傍聴席にも関西電力関係者の姿はなかった。著者はその事実に、政府がバックについているという傲慢さを見た。これは福島の事故以来、初めての原発裁判の判決で、それまではほとんど原告側の敗訴で終わっていたが、樋口裁判長は福島原発事故を踏まえて、〈人間のいのちと人間の尊厳を裁判所が守る〉という決意を表明したのだ。ちなみに、この裁判長は今年4月、高浜原発の再稼働差し止めの仮処分決定を出している。

 反骨の著者による、戦争、原子力、死刑、ハンセン病のルポルタージュの集大成。

(七つ森書館 1800円+税)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭