2018年、東京に流入した移民は1000万人を超えたが、彼らには低賃金労働しかない。彼らは母国への送金のために税金のかからない仮想通貨N円を利用していた。就職に失敗した就職難民の木谷と鎌田の仕事は、〈表〉の中小企業向けに、〈地下経済圏〉のN円の決済機能をつくり込むことだ。ある日、彼らが担当した店の口座に売り上げが入っていないというトラブルが発生。セッティングを依頼した斎藤のミスだった。危うく危機を回避したが、その埋め合わせにと斎藤が紹介したビジネスで、彼らはとんでもない事件に巻き込まれることに。
〈表〉と〈地下〉に引き裂かれた近未来の東京を描くSF小説。(朝日新聞出版 1400円+税)