【70年目の終戦記念日】永遠平和は空虚な理念ではなく、課された使命

公開日: 更新日:

「永遠平和のために」カント著、池内紀訳

 かつて十字軍の騎士たちの末裔がつくった東プロイセンの都市ケーニヒスベルクで生涯をすごした哲学者カント。その彼が70歳を過ぎて著した有名な著作が「永遠平和のために」。国連設立の理念の礎となり、わが国の憲法第9条にもつながったこの著作を新訳し、デザインにも工夫をこらしたのが本書だ。

「戦争状態とは、武力によって正義を主張するという悲しむべき非常手段にすぎない」「国の軍隊を、共通の敵でもないべつの国を攻撃するため他の国に貸すなどということはあってはならない」「行動派を自称する政治家は、過ちを犯して国民を絶望の淵に追いやっても、責任は転嫁する」「永遠平和は空虚な理念ではなく、われわれに課された使命である」……。

 まるで戦争法案に揺れる現代ニッポンやその強行採決に狂奔する誰かサンを名指ししているような言い回しばかりだが、実はこれが今から2世紀以上も前の著作の一節なのだから驚き、あきれ、やがて考え込まずにはおれない。まこと歴史は繰り返すのだろうか。(集英社 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 2

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 3

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  4. 4

    大阪万博「遠足」堺市の小・中学校8割が辞退の衝撃…無料招待でも安全への懸念広がる

  5. 5

    「クスリのアオキ」は売上高の5割がフード…新規出店に加え地場スーパーのM&Aで規模拡大

  1. 6

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  2. 7

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  3. 8

    189cmの阿部寛「キャスター」が好発進 日本も男女高身長俳優がドラマを席巻する時代に

  4. 9

    PL学園の選手はなぜ胸に手を当て、なんとつぶやいていたのか…強力打線と強靭メンタルの秘密

  5. 10

    悪質犯罪で逮捕!大商大・冨山監督の素性と大学球界の闇…中古車販売、犬のブリーダー、一口馬主