「秘島図鑑」清水浩史著
上から見ると平らな三角形をした日本最東端の「南鳥島」には立派な滑走路がつくられているが、自衛隊機専用で、やはり一般人は降り立つことができない。
その他、平安時代末期の武将・源為朝が自害したとの伝説が残り、江戸時代には500人以上が住んでいたが、過疎化で1969年に全島民が離島して無人になった「八丈小島」など。歴史や島にまつわるエピソードなどを紹介しながら、美しいカラー写真で各島を案内。
さらに「もうひとつの『秘島』」と題して「秘島的哀愁」が漂う奇岩も取り上げる。座間味島の北東にポツンと切り立つ「男岩」は、その形が男性の顔に似ているとのことで名付けられたそうだが、確かに絶海に浮かぶその姿は男の哀愁を漂わせている。他にも、大海原に99メートルの鉛筆状の岩がそびえ、作家の開高健が「水平線上の感嘆符」と表現した「孀婦岩」など、見ているうちにどんどん行きたくなってくるから始末が悪い。
極めつきに、日本の有人最南端の波照間島のさらに南にあるといわれている伝説の「南波照間島」や、かつては地図にものっていたという「中ノ鳥島」など、現存しない幻の島まで登場する。