大量絶滅カウントダウン特集!
「人類が変えた地球」ガイア・ヴィンス著、小坂恵理訳
人類が地球を丸ごと作り替える牽引車となった今の時代を、オゾンホール研究者のパウル・クルッツェンはアントロポセン(人新世)と名付けた。著者は、そんなアントロポセンの時代の人々のさまざまな試みを知るため、大気、山、川、農地、海、砂漠、サバンナ、森、岩、都市などの場所ごとの課題を軸に地球を旅して回った。
例えば水の供給がなくなり生活用水に困る村では人工氷河を作るなどの工夫がされている。サンゴ消滅の問題では、巨大な天蓋を作って水温上昇を防ぎ、微生物で人工サンゴ礁を作る事例や、海の酸性度を下げるために重炭酸塩や石灰を加える方法など、人々の多様な試みがあった。
エピローグでは、今後どんな世界を創造していけるのかを、2100年10月のロンドンという設定で未来予想図を描いてみせる。絶望しかねない状況の中でも希望を失わず挑戦し続ける人々の奮闘を信じてやまない著者の姿勢が伝わってくる。
(化学同人 3600円+税)