「戦争と読書 水木しげる出征前手記」水木しげる、荒俣宏著

公開日: 更新日:

 今夏、水木がつづった「出征前手記」が見つかり、話題を呼んだ。本書はその手記と復員後に家族に宛てた戦中書簡を完全収録。さらに門弟を自任する荒俣が、その手記から芸術家志望のまだ無名の青年だった若き水木の思想と実像を読み解いた師弟合作の書。

 手記は、後の水木しげる20歳の本名・武良茂が徴兵検査を受けた直後の昭和17年11月前後に書かれた。そこには自己を押し殺して戦地へと向かう不安や、自分の死をどのように容認すべきか、心の葛藤が赤裸々につづられる。その心のよりどころとなったのがニーチェやゲーテなどの読書だった。荒俣は、水木の読書体験を通じて、戦時下の教養主義的読書の意義を考察する。

(KADOKAWA 800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動