「コーランには本当は何が書かれていたか?」カーラ・パワー著 秋山淑子訳

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 子どもの頃、大学教授の父親に連れられ多くのイスラム圏に居住した経験を持つ著者は、9・11以降、イスラム過激派の言葉ばかりを流し、コーランを知ろうともしないマスメディアの風潮に疑問を覚える。そこでイスラム教の指導者である友人とともに、コーランを読み解く試みを始めた。1年の歳月をかけた対話の中で見つけたのは、女性差別やジハードとは全く異なるイスラム教の姿だった。

 本書は、無宗教者で、フェミニズムにも関心の高い著者が、厳格なコーラン解釈者の友人と時には衝突し、時には意気投合しながらイスラム教の源泉を探る刺激的な一冊。難解さゆえにイスラム教徒にすら深く読まれることが少なく、その代用としてイスラム教とは無関係な地域の慣行がイスラム教そのものと誤解されている現状を詳細に描いている。史上初めて女性に相続を認め、他宗教を尊重する寛容さを持つことなど、従来のイメージをくつがえすコーランの世界を見せてくれる。(文藝春秋 1900円+税)



【連載】週末に読みたいこの1冊

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