「抗争」江上剛著
メガバンク、ミズナミ銀行は2011年3月、東日本大震災の義援金の振り込みが集中したことからATMがシステム障害を起こし、全店で不稼働となった。
9年前、3つの銀行が合併したとき、旧太洋産業銀行で使われていた古い勘定系システムを採用したのが原因だった。
合併後も、それぞれの出身銀行の派閥争いで行内はばらばら、信用回復はそっちのけだった。そんな中、系列のクレジット会社で取引先が反社会的勢力かどうかを認定する担当者が刺殺された。そして、暴力団不正融資が発覚。コンプライアンス統括部の橋沼次長は真相を解明しようと動きだす。メガバンクの闇を描く銀行小説。(朝日新聞出版 1600円+税)