たしかに農業と出版業はよく似ている
「里山産業論 『食の戦略』が六次産業を超える」金丸弘美著/角川新書/2015年12月
例えば、書籍ビジネスについては、神奈川県藤沢市にあるパナソニックの工場跡地を利用した町づくりについて紹介している。
〈これまでの大型書店は、ほとんど駅前ビルに入っていた。デパ地下に料理の本があったり、婦人服コーナーにファッション誌があったり、家具のところにインテリアの本があったりしてもよかったはずだが、現在の出版流通だと、書店以外の店舗が個別に出版社から本を取り寄せることは難しい。返品できないため買い取りとなり、マージンも極めて安い。/ところが、Fujisawa SSTでは蔦屋書店が仲介に入り、書店を各店舗の中心に置くことで連携販売を可能にした。〉
確かにこのようなちょっとした工夫で、お客さんに本を手にとってもらいやすくなる。金丸氏は、出版業と農業は、構造的に似た点があると考えている。
〈書店も農業に似ている。大量生産をして出荷する、流通に乗せるという時代から、地域と連携をして、見せ方、使い方、文化との融合など、さまざまな組み合わせで、必要な人にほしいものを提供する時代となった。〉