「定中役捕物帖金と銀」誉田龍一著
花形の定町廻りから、定中役に格下げされた南町奉行所同心の金吾は、将軍御成の警備のため高積見廻り役の手伝いを命じられる。市中を見回り中、金吾は雨上がりのぬかるんだ道で車輪が深く沈み込む荷車に気づく。車引きの会話から、彼らは数日同じ道を行き来するようだ。抜け荷による入り鉄砲を心配した金吾が翌日、荷車の行方を追うと、ある問屋場に運び込まれた。元盗人のお恵を問屋場に忍び込ませて確認すると、運ばれたのは御金改役の後藤の署名と花押がある包み金だった。金吾と同役の銀十郎は、幕府に納められる小判が、金座から横流しされているのではと疑う。
窓際同心の金吾と相棒・銀十郎が活躍する痛快時代長編。
(徳間書店 630円+税)