「昭和と日本人 失敗の本質」半藤一利著

公開日: 更新日:

 著者の初期の作品を編んだ歴史エッセー集。日本が戦争に突き進んでいってしまった理由をさまざまな視点から探る。

 まずは新聞が、昭和6(1931)年の満州事変から国際連盟脱退までの2年間、その職分を忘れ、陸軍に歩調を合わせ、世論をミスリードした経緯を検証。唯一、「時事新報」の主筆・伊藤正徳だけは社説で国際連盟の脱退反対を主張し続けたが、その他の全社が一丸となって連盟脱退の方向へ世論を導いたと言論の持つ重さと、新聞報道に踊らされた日本人の持つ「精神の病」を問う。

 その他、平和主義者のイメージが濃い吉田茂の外交官時代の素顔や、開戦の詔書にあるべきはずの一行を削除した当時の指導者の意図など。「歴史探偵」の面目躍如の歴史読み物。(KADOKAWA 640円+税)



【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭