「恋愛届を忘れずに」赤川次郎著
大学生の和司は、町中で突然腕をとられ、泥棒呼ばわりされる。事務員姿の相手から、奪った書類を返せと迫られるが、身に覚えはない。ようやく人違いだと気づいた彼女は、今度は泣きだしてしまい、和司は慌てて、友人の礼子の家に連れていく。恭子と名乗った彼女は、上司の峰島と専務から託された書類は会社の命運を握っていると話す。喫茶店でウエートレスが水をこぼしたすきに盗まれたらしい。恭子を連れて、喫茶店に戻った礼子と和司は、主人から臨時雇いだったというウエートレスの住所を聞き出す。部屋を訪ねると、書類を持ち逃げした男の遺体があった。(「表題作」)
発表当時の80年代のテイストが詰まったユーモア・ミステリー集。(実業之日本社 593円+税)