「がちナショナリズム」香山リカ著
14年前、ワールドカップ日韓大会で愛国に目覚めた日本の若者たちを観察し、「ぷちナショナリズム症候群」と名付けた著者は、その著作で「ニッポンが瞬く間にラジカルなナショナリズムの国に転じていく可能性も否定できない」と予測。そして今、ナショナリズムのさらなる高まりは、「嫌韓」やそれに基づく在留外国人への排外主義的な思想や行動となって急速に進展している。
ヘイトスピーチに抗議の声を上げたり、政権に批判的な発言をする著者には、ネットで批判や中傷が浴びせられる。そうした人々の心理分析をはじめ、安倍内閣やネトウヨ、安保改正などを俎上に、日本の「愛国」の現状を考察した社会分析の書。
(筑摩書房 740円+税)