「居酒屋の戦後史」橋本健二著
どんな酒を、どんなときに、どんな場所で飲んでいたのか。そんな酒文化の歩みから戦後社会の変遷を読み解いたテキスト。
戦時中、物資不足で飲食店の開店休業状態が続く中、庶民たちは焼け野原で営業する「国民酒場」に列をつくったという。国民酒場とは戦中から戦後にかけてできた公的指導の下で営業した酒場だそうだ。その他、現在の居酒屋の源流の一つともいえる戦後の闇市の飲み屋街の風景から、ビールを一般階層にまで普及させたという戦時・戦後の統制下で製造された配給ビールの存在、そしてハイボールから水割りへと移り変わったウイスキーの飲み方の流行など。高度成長、総中流社会を経て、格差社会へと向かう日本を酒と居酒屋という視点から俯瞰する。
(祥伝社 820円+税)