「分断社会を終わらせる」井手英策、古市将人、宮﨑雅人著
財政問題から、分断された日本社会の閉塞状況を分析し、打開策を提示するリポート。
政府は景気対策のために多額の借金を財源に組み込み、都市中間層向けの所得減税と地方向けの公共投資を続ける代わりに、社会保障や教育は個人と市場にゆだねてきた。日本人の労働への義務意識が染み込んだこの「勤労国家レジーム」はかつて成長を支える好循環を生み出したが、今は負のフィードバックへと変質し、私たちの生きづらさや不安を増殖しているという。
この負の遺産によって社会が陥っている「三つの罠」を解説。この罠から抜け出すために、人間の生存・生活に関わる基礎的ニーズを財政が満たす「必要原理」に基づいた財政戦略を提唱する。(筑摩書房 1600円+税)