「千利休切腹」の原因は豊臣秀吉との身長格差だった?

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 7世紀の大政治家で大化の改新を成功に導いた藤原鎌足(中臣鎌足)。彼の遺骨は、1934年に京都大学地震研究所の調査で発掘されている。当時の成人男子の平均身長が160センチだったのに対し、鎌足は164.5センチで大柄な体格だったとみられる。

 また、史実には亡くなった年に山科の御猟場で落馬したとあるが、X線検査では第11胸椎の脱臼骨折と左第10肋骨骨折が認められた。この所見から、落馬による胸髄挫滅で重篤な下半身まひが起き、死因は脊髄浮腫による呼吸不全と循環不全と推測できるという。

 篠田達明著「日本史有名人の身体測定」(KADOKAWA 1400円+税)には、歴史小説家であり医師でもある著者が、発掘された遺骨や古文書の記述などを手掛かりに偉人たちの身体測定を実施し、健康状態や持病、死因などを分析した興味深い考察が載っている。

 大河ドラマの常連である豊臣秀吉の肖像画は、ヒゲをたくわえた立派な顔貌で、体も非常に大柄に描かれている。しかしこれは、太閤の座についてからお抱え絵師に描かせたもので、コンプレックスの裏返しによるもの。実際の秀吉は猿面冠者とあだ名されるほど猿に似ており、しかも非常に小柄。成人男子の平均身長が157センチの時代に、140センチしかなかった。

 また、おたふく風邪の影響で無精子症であった可能性も高い。20人を超える側室を迎えた好色家であるにもかかわらず、ふたりしか子供を持てなかったのもそのためで、このふたりも実子でない可能性が高いと著者。ちなみに、秀吉による“パワハラ”を受けて切腹に追い込まれた千利休は、スラリと高身長の178センチだったという。よもや身長差に対する嫉妬が切腹の原因かと、思わず勘繰ってしまう。

 他にも、低身長症だった山本勘助や徳川綱吉、実は両目の眼球が保たれていた独眼竜・伊達政宗、肥満体で高血圧の疑いが濃厚な上杉謙信など、偉人たちの実像を明らかにしていく。


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