「へこたれない人」佐藤雅美著
南町奉行所物書同心の紋蔵は、筆頭与力の安藤から相談を持ち掛けられる。あるお偉方が音羽の岡場所を取り潰せと言っているという。しかし、音羽とつながる町方の廻り方らが大騒ぎするのは目に見えており、理由もなく音羽だけを取り潰す妙案は浮かばない。
そんな中、紋蔵は娘婿の鉄三郎を小石川の屋敷に見舞う。その帰り道、紋蔵は仁室寺の寺男吉兵衛に声をかけられる。別の寺で働く吉兵衛の息子が失踪したという。住職の手文庫からは金が消えていたらしい。紋蔵は奉行所に届ける前に、まずは息子を捜すよう助言する。帰宅した紋蔵を待っていたのは鉄三郎の訃報だった。(「音羽者の知恵」)
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