「もののけ犯科帳 明日きみは猫になる」高橋由太著
妖怪改方同心の刀祢が、本所深川の馴染みの飯屋・稲亭を訪ねると、女将のお園や娘の統子の髪の毛が一本もなくなっていた。しかし、2人とも苦にしている様子はなく、長官の夜ノ介も動き出さない。数日後、稲亭にやってきた「なまはげ」によると、つるつる頭騒動は髪神のもこもこの仕業らしい。
もこもこは軍鶏鍋屋小鉄の看板娘・おゆうと客の侍・里村の身分違いの恋を成就させてやろうと、里村の頭をハゲにさせるつもりらしい。お園や統子はその練習台だったようだ。一方、小鉄の主は、里村は改方で、お役目でおゆうに接近したと信じていた。(「明日きみはハゲになる」)
江戸に跋扈(ばっこ)する妖怪たちと江戸っ子たちの攻防を描く時代ファンタジー。(徳間書店 610円+税)