「真実の檻」下村敦史著
母の遺品を整理していた大学生の洋平は、天井裏に隠してあった手紙を読み、自分の本当の父親が赤嶺という男だと知る。育ててくれた父に確認すると、赤嶺の存在を承知で身重の母と結婚したらしい。洋平は父から赤嶺は交通事故で死んだと聞かされる。しかし、ネットで事故のことを調べると「赤嶺事件」がヒット。事件の概要を読んだ洋平は、検察官だった赤嶺が結婚を反対した母の両親、つまり洋平の祖父母を惨殺した死刑囚だと知る。死刑は執行されておらず、赤嶺はまだ生きていた。何も手につかず、ネットの情報をさまよう洋平は、赤嶺事件は冤罪の可能性があると記した雑誌の記事にたどりつく。
乱歩賞作家が冤罪をテーマに描いたミステリー。(KADOKAWA 1600円+税)