「肉筆で読む作家の手紙」青木正美著

公開日: 更新日:

 古書店主の著者は、作家らの書簡や原稿など多くの自筆物を収集。まずはその収集の始まりとなった島崎藤村の最晩年の手紙を取り上げる。

 昭和17年4月、71歳だった藤村が谷崎潤一郎とも交遊があった大谷嘉助という人物に宛てた手紙で、「老躯に鞭うち」最後の長編に取り掛かっている近況と、切迫した時局への憂いが書かれている。

 その他、小林多喜二に請われて彼の作品への批評をしたためた志賀直哉の手紙、のちに「日本百名山」で名を残す深田久弥が軍隊時代に改造社の編集者に送った、まるで目の前にいる人物に話しかけているかのような書信など。

 29人の手紙に、彼らの文学への思いや私生活を垣間見る文学エッセー。(本の雑誌社 2000円+税)





【連載】BOOKレビュー

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 2

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 3

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  4. 4

    大阪万博「遠足」堺市の小・中学校8割が辞退の衝撃…無料招待でも安全への懸念広がる

  5. 5

    「クスリのアオキ」は売上高の5割がフード…新規出店に加え地場スーパーのM&Aで規模拡大

  1. 6

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  2. 7

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  3. 8

    189cmの阿部寛「キャスター」が好発進 日本も男女高身長俳優がドラマを席巻する時代に

  4. 9

    PL学園の選手はなぜ胸に手を当て、なんとつぶやいていたのか…強力打線と強靭メンタルの秘密

  5. 10

    悪質犯罪で逮捕!大商大・冨山監督の素性と大学球界の闇…中古車販売、犬のブリーダー、一口馬主