「大麻解禁の真実」矢部武著
日本では大麻を所持するだけで逮捕されるが、欧米では、合法化、非犯罪化が進んでいる。本書は、米国の対麻薬戦争や、日本の麻薬対策の現場をリポートしながら、両国の麻薬規制への考え方の違い、そうした規制を生み出す文化や歴史的背景を考察する。
米国の大麻禁止法は、1930年代、禁酒法が廃止され失業の危機にさらされた連邦捜査官を救うため、政治的に制定された疑惑があるという。一方、日本では戦前、産業用途の大麻が全国的に栽培されていたが、GHQによって突然禁止された。神道になくてはならない大麻を使わせないようにしたらしい。医療用大麻の効用などを紹介しながら、遅れた日本の薬物対策の現状を指摘する。(宝島社 1300円+税)