怖い話で思い切りヒンヤリ ちょっと早い「怪談本特集」
「うわさと俗信」常光徹著
「学校のトイレにお化けが出る」「人面犬が出た」「口さけ女に追いかけられた」「ピアスの穴を開けたら白い糸が出てきてひっぱったら失明した」「就職試験で『男は黙ってサッポロビール』と言ったら合格した」など、人々の口から口へと言い伝えられる話の数々。どこもかしこも明るく照らされ、コンピューター制御の時代に入ってもまだなお都市伝説のように伝えられるこれらの話には、人間のどんな深層心理が隠されているのか。本書は、現代の言い伝えを収集し、その地域性や特徴などを紹介していく。
たとえばタクシーのシートをびしょぬれにして姿を消す幽霊などは各地に頻繁に見られる話である一方、「三越日本橋のライオン像に誰にも見られずまたがることができたら合格」や「願書受け付けは中央郵便局の消印のついたものでないと受からない」などは、受験生やお受験ママの間にだけ言い継がれていくらしい。
口承の背景にある不安や不信などについても分析している。(河出書房新社 1500円+税)