怖い話で思い切りヒンヤリ ちょっと早い「怪談本特集」

公開日: 更新日:

 容赦なく太陽が照りつけるギラギラの夏。身も心も暑さで干からびそうになっているなら、思い切りひんやりさせてくれる怪談本を手にとってみよう。惰性で歩いていた通勤途中のあの道も、出張で泊まったあのホテルも、近所でいつもすれちがう散歩中の老人も、別の世界へと続く秘密の扉を隠している。今回はそんな異界へとアナタを導く怪談本4冊をご紹介!

 長年同じような生活を繰り返して生きていると「人生こんなもんさ」とタカをくくって、何でもわかったふうになりがちなもの。けれど人里はなれた山に行けば、そんなだらけた人間の背筋をヒヤリとさせるような体験に満ちている。

 工藤隆雄著「新編 山のミステリー 異界としての山」(山と溪谷社 1200円+税)は、そんな下界ではめったに聞けないような山での不思議な話を集めた怪談集だ。

 収録されているのは、実際に著者が山小屋の主人から聞いた話や自身で体験した話など、計56話。下山がかなわなかった登山者の霊が毎晩山小屋にやってくる話や、死が近い人がわかる山小屋の主人の話、山で出会った者同士がお互いを幽霊と勘違いして悲鳴をあげた話、熊に遭遇したが背中にあった水筒が熊のツメにあたって九死に一生を得た話などのほか、静岡県磐田郡水窪に7年に1度山中に現れる幻の池、いったん倒れたはずが再び立ち上がった三ツ峠山の大木など、具体的な地名や場所が出てくる話などもあって興味深い。

 例えば、東京で一番高い雲取山で雲取山荘を営む新井信太郎氏は、平成11年12月の夜半、昼間に山荘の場所を見失ってたどり着けなかった夫婦の登山者が近くの避難小屋にいた人に道案内されて訪ねてくるという体験をした。

 分岐点もわかりやすく看板も出ているのに、山小屋を見失うなどということがあるものかと思っていたが、「山小屋が消えた」のはこれが初めてではなかったことを思い出す。かつて先代の小屋番の妻が遭難者のためにお題目をあげていた御堂に、山小屋を見つけられなかった登山者が入りこんだことがあったのだ。もしかしたら先代の小屋番とその妻が何か訴えているのではないかと思った新井氏は、その後地元の神社に協力してもらい廃屋になっていた御堂を壊して祠を新たに建て直した。それ以来、雲取山荘は消えなくなったらしい……。

 本当かどうかを確かめてみたいなら、この際思い切って一度登ってみる!?

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  3. 3

    大谷の今季投手復帰に暗雲か…ドジャース指揮官が本音ポロリ「我々は彼がDHしかできなくてもいい球団」

  4. 4

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  5. 5

    フジ反町理氏ハラスメントが永田町に飛び火!取締役退任も政治家の事務所回るツラの皮と魂胆

  1. 6

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり

  2. 7

    やなせたかしさん遺産を巡るナゾと驚きの金銭感覚…今田美桜主演のNHK朝ドラ「あんぱん」で注目

  3. 8

    女優・佐久間良子さんは86歳でも「病気ひとつないわ」 気晴らしはママ友5人と月1回の麻雀

  4. 9

    カンニング竹山がフジテレビ関与の疑惑を否定も…落語家・立川雲水が「後輩が女を20人集めて…」と暴露

  5. 10

    “下半身醜聞”川﨑春花の「復帰戦」にスポンサーはノーサンキュー? 開幕からナゾの4大会連続欠場