「台所のラジオ」吉田篤弘著
書店でアルバイトしている夏美がよく行く丸山レストラン名物の紙カツは、店主・丸山の幼馴染みの梶原の工場で作っている昔風の黒ソースとの組み合わせがバツグンだった。ところが、2人が喧嘩をして、他社のソースに替えられてしまった。
喧嘩の原因は夏美の彼氏の相良くん。相良くんは夏美の元同級生で、〈悲しみをしまう箱〉を作っているのだが、早いところ別れたほうがいいと丸山が言うのに対して、梶原が好きなように生きているやつの方がいいと言ったことから口論になったのだ。ところがある日、丸山レストランに相良くんがやってきた。(「紙カツと黒ソース」)
ほのぼのとした味わいの12の物語。(角川春樹事務所 1600円+税)