「恋から始まったビョーキ」松居沙夜著
強迫性障害とは、不潔が気になって何度も手を洗うなど、無意味と分かっていながら同じ行為を繰り返し、やめられなくなってしまう疾患。思い返せば小学生時代にその兆候はあったが、予備校生時代に初めて交際したA、続く大学生のBとの恋愛によって症状が顕著となり、自分が精神疾患であることを自覚したという。運転中に墓石の破片を踏んだと思い込み神棚の前で謝罪を続けてしまった「縁起恐怖」や買い物から帰宅後に購入した全商品を除菌しなければ気が済まない「不潔恐怖」など、自らの体験を告白しながら、強迫性障害の諸症状や行動療法の効果などを紹介する。
長年、精神疾患の強迫性障害に苦しんできた著者による闘病エッセー。(新潮社 1400円+税)