「翳りの城」三吉眞一郎著

公開日: 更新日:

 元亀3(1572)年、武田信玄は、大軍を率いて上洛を開始。主力部隊の側面、東遠州方面攻略を命じられた剣崎弦馬が兵を率いて進軍中、天明山山麓に奇妙な城を見つける。家康が急ごしらえした出城と思われた。城は無防備で、石垣をただ垂直に積み上げ、その高さだけが際立ち、人影は見えない。空城ならば焼き払うだけと、剣崎は翌朝、800の兵で攻撃を仕掛ける。

 しかし、大手門まで兵が進撃すると、石壁に巧妙に設けられた矢狭間から一斉に矢が降り注いできた。多くの犠牲を出しながらも大手門を突破し、槍部隊が城内に突撃する。しかし、いつまでたっても剣崎に落城の知らせは届かない。

「人を食らう城」と武田軍の死闘を描く時代バイオレンス。(竹書房 700円+税)

【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…