「電王」高嶋哲夫著
富山湾を望む老舗旅館で、第76期名人、取海創と将棋ソフトとの対戦が行われていた。マシンを操作するのは東都大学情報工学科教授の相場俊之。2人は小学生時代からのライバルで20年ぶりの対局だった。叔父が買ってくれた詰め将棋の本を読んでいた俊之に、転校生の創が声をかけたのがきっかけで2人は親しくなった。創は6年生で史上最年少のプロ棋士になったが、三段リーグで敗れた俊之は将棋をやめた。それ以来、過去は封印したはずだったが、学生が将棋ソフトの開発を修士論文のテーマにしたいと相談したことが、俊之の心を揺さぶることに。
いま話題の、人間対人工知能の戦いを通して棋士の内面を描く意欲作。(幻冬舎 1400円+税)