「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」佐々涼子著
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた日本製紙石巻工場の再生のドラマを追ったルポルタージュ。
世界屈指の規模を誇る同工場に流れ込んだ津波は高さ4メートルに達し、場内には流されてきた民家や乗用車が散乱。従業員の多くは工場の閉鎖を覚悟した。しかし、震災前、年間100万トンもの紙を生産し続けてきた同工場の機能停止は、日本の出版に危機をもたらす。工場長の倉田は、1台でいいから半年で復旧させると宣言。当初は最新鋭機から復旧させる予定だったが、出版業界が待ち望む高度な専門性を持った「8号抄紙機」を最優先させることに。被災者として、そして家庭人として日々を戦いながら、奇跡の復旧を成し遂げた一人一人の戦いを描く感動の力作。(早川書房740円+税)