「落語魅捨理全集」山口雅也著
無門道絡なる僧侶に化けた骨董商の男。田舎の人間をだまして掘り出し物の骨董を安値で手に入れようというのだ。ある茶屋で猫が高価な絵高麗の梅鉢で餌を食べているのを見て、一計を案じた。猫を1両2分で譲ってくれと茶屋の親父に持ち掛け、ついでにその茶碗も、と言ったら、ぴしゃりと断られた。親父は、絵高麗の梅鉢で猫に餌を食べさせると拾ってきた猫が時々、高価で売れるとうそぶく。
ところが、親父は道絡が持っていた平賀源内の発明品だという刻みたばこ用点火器を見ると目を輝かせ、自分とひと勝負しないかと言いだした。(「坊主の愉しみ」)
古典落語を下敷きにしながら予想外の結末で驚かせる江戸噺7編。(講談社 1800円+税)