「新・世界の空港」
世界各地の個性的な空港を紹介するポケット写真集。
長年にわたって年間発着数、利用者数ともに世界一を誇るアメリカの巨大空港「ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港」(空港名は元アトランタ市長2人の名前から命名)から、エベレスト登頂の登山口ルクラにあり、極端に滑走路が短く世界で最も危険な空港といわれることもあるネパールの「テンジン・ヒラリー空港」(言わずと知れたエベレスト初登頂を成し遂げたあの2人に由来)まで、大小合わせて73の空港を写真と短い紹介文で案内する。
空港はその国、その土地の玄関口であり、初めてその土地に降り立った人たちの第一印象を左右する大切な場所でもある。ゆえに、ただ機能的であればよいというわけでなく、それぞれが緻密なグランドデザインのもと、資金と知恵をつぎ込んだ特徴ある構築物、内装が施されている。
中国・深セン市の「深セン宝安国際空港」のマンタが鳥へと姿を変え、空を舞うさまをイメージしてつくられたというターミナルは、その外観といい、白一色のチューブ状の内装といい、過剰な装飾が一切なくシンプルでありながら、近未来的だ。
一方、メッカに向かう巡礼客用に「ハッジ(大巡礼)」の時期だけ使用されるターミナルを備えたサウジアラビアのジッダにある「キング・アブドゥルアズィーズ国際空港」など、その国独自の仕様を持つ空港もある。同じくサウジアラビアのリヤドの「キング・ハーリド国際空港」は、内部に5000人、外の広場にも同数が収容可能なモスクを併設しているという。
その他、虹色のカラフルな支柱と天井の独特の曲線が優美なスペインの「マドリード・バラハス空港」や、フランスの「シャルル・ド・ゴール空港」、イタリアの「レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港」など、大都市の空港はその大きさとデザインで、写真を眺めているだけで、心はかの地に飛び、何だか旅に出たくなってくる。
一方で、限られた土地に建造されているため、一般道路が堂々と滑走路を横切っているイギリス領ジブラルタルの「ジブラルタル国際空港」や、満潮時に滑走路が海に漬かってしまうイギリスの「バラ空港」、セレブたちが自家用機で乗り付けるアルプスの高級リゾートにある「クールシュヴェル飛行場」、観光客でにぎわうビーチの上空すれすれを大型旅客機が行き交うオランダ自治領シント・マールテン「プリンセス・ジュリアナ国際空港」など。なかなか訪ねる機会が少ないだろう空港も多数収録。
ページを開くだけで、手軽に世界中の空港に降り立つことができる旅情を誘うガイドブックだ。(パイ インターナショナル 1800円+税)