「息子が殺人犯になった」スー・クレボルド著、仁木めぐみ訳

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 1999年4月20日、米国コロラド州のコロンバイン高校で、在校生の2人が銃を乱射し、死者13人、負傷者24人の犠牲者を出し、犯人2人は自殺。この事件は米国内のみならず世界中を震撼させた。本書は加害者生徒の一人の母親による手記である。

 事件発生当日、事件の報を聞き、あろうことか自分の息子が加害者であることを知った著者の驚愕と錯乱。事実を受け入れられず、責任を他に転嫁して自分と息子を正当化しようとあがく……。

 前半は、ある日突然、凶悪犯の母親になってしまった著者の狼狽ぶりが赤裸々につづられていく。後半は、各種の精神医学や犯罪学を援用しながら、事件以前の息子の日常を細かく描き、どうすればもっと早く異常に気づけたのかを分析していく。

 教養もあり理解ある両親に育てられた息子が、なぜ事件を引き起こしたのか。この問題にあえて立ち向かうことが贖罪であり、事件再発を防ぐ一助となる。嵐のような憎悪を向けられながらもそう考えるに至った著者のひたむきな姿に心を打たれる。

 (亜紀書房 2300円+税)

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