「緑の窓口」下村敦史著
区役所職員の天野は、公園で変な美女を見かけた。園内の桜の開花時期が違うと聞いて突然桜に張り付き、公園の管理者に、これはソメイヨシノだから開花時期が違うのは病気かもしれないと言う。数日後、天野は「緑の窓口」に異動になった。樹木に関するトラブルに対処する窓口だ。庭のスギを切りたいのに姑が反対しているという相談があったので大河内家に行ってみたら、公園で見た美女がいた。樹木医の柊紅葉で、こんな立派なスギは珍しいという。大河内夫人は、日当たりが悪くなるし近所にも迷惑だと言うが、姑は花屋で働いているのに花言葉も知らないくせに、と反論する。(「症例1」)
樹木に寄せる思いを読み解く6編のミステリー。
(講談社 1550円+税)