「太陽と乙女」森見登美彦著

公開日: 更新日:

「太陽の塔」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞してデビュー、「夜は短し歩けよ乙女」や「ペンギン・ハイウェイ」など話題作で人気を得ている著者のエッセー集。

 400ページを超える本書には、読書について、好きな映画や食べ物、自分の小説、散歩や旅、身辺雑記といった部立てのもとに新旧さまざまなエッセーの他、書き下ろしとして、ファンタジーノベル大賞受賞時の日記を収録した「『森見登美彦日記』を読む」と、スランプで小説を書けなかった時期に台湾の雑誌に連載したコラム「空転小説家」も初収録されている。要するに、デビュー以来14年に及ぶ作家生活のなかで、小説以外に書いてきた文章のほとんどを収めたエッセー大全集である。

 ここには作家・森見登美彦の趣味嗜好、小説の舞台裏、京都の学生時代に6年間暮らした4畳半の下宿生活、恋愛と結婚といったことまでが虚実取り交ぜて面白おかしく書かれている。ファンは無論、小説を読んだことのない人でも、読み終わったときには、この作家をとても近しい存在に感じることだろう。

(新潮社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭