「ここまできた小選挙区制の弊害」上脇博之著
1994年に小選挙区制が導入されて24年になるが、2012年の総選挙でたった4割強の得票率だった自民党が8割近い237議席を獲得。
その結果“つくられた多数派”の虚構の上げ底政権が戦争法や共謀罪法などの立憲主義を蹂躙する違憲の法律を次々と制定し、独裁国家と実質変わらない政治がまかり通っている。昨年10月の衆議院総選挙でも小選挙区制の重大欠陥が効果を発揮し、安倍政権の改憲への暴走をもたらしている。
憲法学者の著者は、財界が望む「完全小選挙区制」導入の問題点を指摘し、「参議院の合区」や「1院制」論を批判しながら、今こそ憲法違反の小選挙区制を廃止し、民意を最大限に尊重する「完全比例代表制」にかえ、衆議院は定数600、参議院は定数300に増員すべし、と明快に説く。(あけび書房 1200円+税)