「おじさん・おばさん論」海野弘著
「おじさん・おばさん論」海野弘著
著者はおじさん・おばさんは「文化」を伝えるのにある役割を果たしている人だと説く。
本書は、親子の直線的(垂直的)な関係とは異なり、上下がずれた、おじさん・おばさんとおい・めいの斜線的な関係について論じたテキスト。
トルーマン・カポーティの短編「クリスマスの思い出」の主人公である孤児と惜しみなく愛情を注いで彼を育てる独身のおばちゃんの不思議な共同生活をはじめ、牧師の子として生まれた画家ゴッホが絵画に出会うきっかけとなったセント伯父さん、両親に音楽の道に進むことを反対されていたストラビンスキーの音楽的才能を誰よりも早く認め励ました母の義兄であるイエラチッチ伯父さんなどを紹介。
偉人たちの子ども時代に影響を与えた人物たちの存在がおもしろい。 (筑摩書房 1210円)