高さ120メートルの「牛久大仏」にガツン!

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「夢みる巨大仏 東日本の大仏たち」半田カメラ著

 巨大な構造物は、その大きさだけで人の心をとりこにする。修学旅行や遠足で会った「奈良の大仏」や「鎌倉大仏」の大きさに、圧倒された思い出を持つ方も多いことだろう。しかし、像の高さだけを見てみれば、奈良は14・7メートル、鎌倉は11・3メートルとさほどでもない。それでいてあの迫力と存在感は、やはり仏様ゆえのオーラによるものか。

 もともと高い建造物が好きだったという著者は、興味本位で「牛久大仏」を参拝して衝撃を受ける。それもそのはず、日本一大きなこの仏像は高さ120メートルもあるのだ。以来、「何か常習性のある薬物でも打ったように」巨大仏を求めて全国を巡ってきた著者による巨大仏ガイドブック。

 札幌の真駒内滝野霊園にある「頭大仏」は、小高い丘の頂上から大仏の頭だけが飛び出して見えるという、シュールな風景をつくり出している。

 実は丘自体が大仏殿で、空洞の丘の中に大仏が鎮座しているのだ。

 他にも津波や戦争の犠牲者を供養するために海を見守るように立つ釜石大観音(岩手県)や、「遠くから見て良し、下から見上げて良し、胎内に入ってなお楽し」と巨大仏の魅力がすべて揃った仙台大観音(宮城県)、仏師だった初代から延々、4代86年にわたって彫られ続けているがいまだ未完成の福島県の磨崖仏「百尺聖観世音尊像」、参拝者が来るとセンサーが感知して回転する「おおくら大仏」(東京都)、そして個人が建てた日本一大きな(高さ17・5メートル)お地蔵様「幸福地蔵」(新潟県)など、東日本の60余像を取り上げる。

 巨大ガスタンクをキャラクター化した「ニコタン」など、参拝の途中で出合った魅惑的な「巨なる」スポットも多数紹介。自ら参拝するのはもちろんだが、読んだだけで何か御利益がありそうだ。(書肆侃侃房 1600円+税)

【連載】発掘おもしろ図鑑

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