「葬送の仕事師たち」井上理津子著
葬送の現場で死を見つめてきたプロフェッショナルたちの仕事ぶりを取材したルポルタージュ。
この仕事に就いてから自分の死に恐怖を感じるようになり、宗教書を読み漁ったという高橋さんをはじめ、赤ちゃんを亡くして茫然自失の喪主に代わって挨拶に立ち、とっさに浮かんだ詩を朗読したという堀井さんや、かつて大病院に入り込んで金持ちの葬式ではむしれるだけむしり取ったと明かす中原さんら。そして、葬儀社の社員をはじめ、実はよく焼けるように焼却中に人力で遺体を動かしているという火葬場の職員から、薬液を使って遺体に防腐処理を施し、神業のように復元するエンバーマーや納棺師、そして葬儀のプロを目指す専門学校生まで。知られざる現場の舞台裏とそこで働く人々の生きざまに迫る。
(新潮社 550円+税)