「赤猫」柴田哲孝著

公開日: 更新日:

 赤猫とは警察用語で放火、あるいは放火犯のことを指す。

 警視庁石神井署の刑事片倉康孝は定年間際で、今は捜査の現場から離れている。“乗り鉄”でもあった彼は今、上越線小出駅のホームに立っている。3日の休暇を取り、これから只見線に乗って会津若松に向かうところだ。

 片倉には忘れられない事件があった。20年前に起きた放火殺人事件のことだ。事件現場に貼ってあった一枚の守札「須門神社」がこの沿線にあるのだ。そこで住安武治という老人の知己を得る。署に戻った片倉は、かつての部下柳井、鑑識の得丸らを巻き込んで20年前の赤猫の再捜査に着手した。

 捜査は難航を極めるがおぼろげながら見えてきたのは、昭和30、40年代を生き抜いた女たちの凄まじい情念、生きざまだった。20年前の放火事件の謎を追う警察小説。

(光文社 1600円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動