「刑事の血筋」三羽省吾著

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 緊急招集で叩き起こされた高岡守と同僚の久隅が現場で見たものは少し前、公務執行妨害容疑で逮捕し、20日間の勾留の後釈放された木村正の無残な遺体だった。

 そんな折も折、高岡の3つ上の兄で警察庁のキャリアになっていた剣が地元に異動になって帰ってきた。実はここの県警の会計があまりにも真っ白で、逆に警察庁の会計課に疑いを持たれた。その内偵役に剣が指名されたのだ。

 それぞれが捜査を進めていくうちにひとつの言葉が浮かび上がった。「存在の売買」――。戸籍を含めてある人間の存在そのものを買い取り、それを必要とする人間に売るという商売なのだ。

 2人の父・敬一郎の殉職の謎にも迫りながら巨悪を暴く警察小説の粋。

(小学館 1500円+税)

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