「俳諧でぼろ儲け 浮世奉行と三悪人」田中啓文著
大坂で「竹光屋」を営む雀丸は、近所に住む女侠客の鬼御前から賞金100両の句合わせが行われると耳にする。見つかった芭蕉の辞世の句の碑を作るための資金集めの句合わせらしい。雀丸に興味はないが、同居する祖母の加似江も鬼御前もやる気満々。5日後の締め切りを目指し、句作が始まる。一方、雀丸に竹光作りの依頼が舞い込む。居丈高な依頼人の武士・河野が持ち込んだ刀は、名刀「虎徹」だった。金に困っているらしい河野は、句合わせの引き札を目にとめ、自分も参加すると帰っていった。そこへ有名な俳諧師が雀丸を訪ねてくる。(表題作)
町奉行の裁きを待っていられないこともある。そんなもめ事を裁断する「横町奉行」でもある雀丸が主人公の連作時代小説第2弾。
(集英社 720円+税)