「爆身」大沢在昌著
通称キリと呼ばれるボディーガードのもとに、ニュージーランド在住のトマス・リーなる人物から、日本滞在中の警護依頼のメールが届いた。フィッシングガイドをしているというリーが、なぜ大手警備会社ではなく、自分に警護を依頼したのか。
さらに、一体誰に狙われているというのか。疑問に思ったキリは、とりあえず依頼人から話を聞くため、来日後の宿泊先となっているホテルのレストランに打ち合わせに向かう。
ところが、キリが到着直後、ホテル内で爆発のようなものがあり、依頼人が爆死してしまったことを知る。火薬のにおいもせず、被害者はリーひとりだけだった。事故なのか、殺人なのか。フィクサー・睦月の依頼で、キリは事件の真相を調べ始めるのだが……。
本書は、前作「獣眼」に続く、“ボディーガード・キリ”シリーズの最新作。キリのもとに舞い込んだ依頼人リーの爆死という事件を巡って、呪い殺されることを恐れていたというリーの正体や、リーを襲った呪術のからくりが徐々に明らかにされていく。呪術で果たして人体発火は可能なのか。
主人公のクールな洞察が光るハードボイルド小説。
(徳間書店 1900円+税)