「島のエアライン(上)」黒木亮著

公開日: 更新日:

 イルカの親子が描かれた機体で有名な天草エアラインは、熊本県天草を拠点とする第三セクター方式の航空会社。

 本書は同社を主役としたノンフィクションノベル。

 本土との交通のアクセスが悪い天草に飛行場をとの訴えが県議会に出されたのは1973年。その後、運輸省(当時)の認可を受け空港建設に着手するが、観光の目玉となるはずの西武グループのリゾート開発が白紙となり、土地買収は難航、就航する航空会社も決まらない。開港が危ぶまれる中、県庁は自前で航空会社をつくることを決定。

 とはいえ、飛行機の購入、パイロットや整備士、CAなどを独自に調達・育成しなければならず、わずか1機の就航で採算を確保するのは至難。幾多の困難を乗り越え、ようやく2000年3月、開港にこぎ着ける。

 その後もトラブルが続くが、初年度はなんとか黒字を出すことができた――。

 ここまでが上巻。航空業界の素人集団が次々と襲ってくる困難に立ち向かっていく姿は、ジェットコースターサスペンスさながら。下巻もさらなる難問が続出!

(毎日新聞出版 1500円+税)


【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…