「NHK英雄たちの選択 江戸無血開城の深層」磯田道史、NHK「英雄たちの選択」制作班著
歴史にはいくつもの重要な岐路がある。そうした岐路を前に史上の英雄たちはなぜその選択をしたのか。それを選んだ動機、背景などと併せて歴史のifを探って評判のTV番組「英雄たちの選択」。本書は江戸無血開城に焦点を当てた放送内容に歴史学者・磯田道史の見解を補足して再構成したものだ。
本書で取り上げている選択は4つ。
①西郷隆盛、大久保利通らのクーデター計画を事前に察知した15代将軍・徳川慶喜の選択。武力鎮圧か、静観か②新政府軍が江戸に迫る中、幕府の代表として対峙する勝海舟の選択。徹底抗戦か、交渉による講和か③慶喜が蟄居して、江戸城の大奥に取り残された篤姫と和宮の選択。京へ帰るか、新政府軍と一戦交えるか、城にとどまり和平を目指すか④西南戦争を前にした西郷隆盛の選択。交渉か、挙兵か、不動か。
新資料を駆使し、教科書からではうかがえない、維新前後のダイナミックな歴史の動きを堪能できる。「西郷どん」のサブテキストとしても便利。
(NHK出版 1400円+税)