「大ぼら吹きの城」矢野隆著

公開日: 更新日:

 藤吉郎は、清洲城主・織田信長の小者頭で、身分は低いものの大きな野心を抱いていた。そんな藤吉郎が美しい娘に一目惚れする。娘は織田家弓衆の浅野又右衛門の養女・於禰。身分違いもなんのその、藤吉郎は「儂は天下人になる男じゃ」と大ぼらを吹き、嫁になってくれと迫る。

 最初は相手にしなかった於禰だが、藤吉郎のしつこさに負け、2人は夫婦に。この結婚を機に、藤吉郎の運は開けていく。

 手始めに、かつて縁のあった木曽川流域に根を張る川筋衆を束ねる蜂須賀小六を味方に引き入れ、その褒賞として鉄砲足軽の組頭に。次いで美濃攻めの要衝、墨俣城築城を買って出る。築城は敵方の妨害に遭って何度も頓挫していたが、藤吉郎は自分なら短時日で城を築いてみせると大言壮語。皆がほら吹きめとバカにする中、藤吉郎は蜂須賀小六ら川筋衆の力を借りてこの難題に挑む……。

 世にいう「墨俣一夜城」の伝承を中心に、舌先三寸で乱世を生き抜く若き秀吉の姿を清新に描いた長編歴史小説。

(KADOKAWA 1600円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    フジ火9「人事の人見」は大ブーメラン?地上波単独初主演Travis Japan松田元太の“黒歴史”になる恐れ

  3. 3

    PL学園で僕が直面した壮絶すぎる「鉄の掟」…部屋では常に正座で笑顔も禁止、身も心も休まらず

  4. 4

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  5. 5

    三浦大知に続き「いきものがかり」もチケット売れないと"告白"…有名アーティストでも厳しい現状

  1. 6

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  2. 7

    伸び悩む巨人若手の尻に火をつける“劇薬”の効能…秋広優人は「停滞」、浅野翔吾は「元気なし」

  3. 8

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  4. 9

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  5. 10

    下半身醜聞の川﨑春花に新展開! 突然の復帰発表に《メジャー予選会出場への打算》と痛烈パンチ