「辺境メシ」高野秀行著
辺境探検家として世界各地の秘境に足を運んできた著者は、旅をしている中で、自ら進んで、あるいはやむを得ず、ご当地特有の「メシ」にありついてきた。本書には、これまで著者が食してきた奇食珍食の数々が紹介されている。
ゴリラ、ラクダ、水牛、モルモットなど、およそ食材としてはイメージできない肉を食べると聞くだけでも驚かされるが、これらはほんの序の口。
羊の金玉と脳みそのたたき、バッタとアリの卵を挟んだサンドイッチ、ヤギの糞のスープ、ウ○コにそっくりの羊の生肉のハンバーグ、ヒキガエルジュース……といったものが出てくると、バッタやイモムシといった昆虫食などはむしろ普通に思える。
さらには、世界で最も臭い食べ物といわれる塩漬けニシンのシュールストレミングと2番目に位置する韓国のホンオ(エイ)にも挑戦、それを食する模様は壮絶。
本人いわく、元来は好き嫌いが多く胃腸も強くないとのこと。それでも食べてしまうのは強烈な好奇心のなせる業。
(文藝春秋 1500円+税)