「雑賀のいくさ姫」天野純希著
イスパニア船に便乗したジョアンは、傲慢な船長に対する船員の反乱に巻き込まれ、漂流する船にひとり取り残された。食料が底をついたころ、突然、ハポネスの海賊が船に乗り込んできた。海辺の小さな集落に連れていかれ、洞窟に閉じ込められたが、ある日、人影が現れて見張りを叩きつけた。短い刀を握った美しい少女だった。少女は紀伊の領主の娘、鶴と名乗り、屈強な男たちを引き連れてジョアンが乗ってきたイスパニア船に向かった。鶴らが船の積み荷を奪うのを見てジョアンは驚愕するが、彼女は「雑賀のいくさ姫」と呼ばれる水軍の姫だった。そんな彼女に明国海賊の襲撃が迫る。
戦国末期の西国を舞台に、雑賀水軍の姫が明国海賊の船団と戦う壮大な時代小説。 (講談社 1650円+税)