「官僚の掟」佐藤優著
決裁文書を改ざんした財務省や、局長が受託収賄容疑で逮捕された文科省など、官僚による不祥事が相次いでいる。自らもかつて外務官僚だった著者が、高い実務能力を持ちながら倫理意識に欠ける高級官僚と官僚組織の実態とその行動原理を解き明かした官僚論。
明治時代から続く官僚階級には独自の文化が形成されているという。3省それぞれのタブーを表している「自殺の大蔵(財務省)、汚職の通産(経産省)、不倫の外務」という慣用句や、ドラマにもなった外務官僚による10億円の機密費私的流用などを取り上げながら、官僚の掟や体質的問題点を解説。さらに、官僚たちが仕える安倍内閣を反知性主義と痛烈に批判し、それでも内閣が国民に支持される背景を分析する。
(朝日新聞出版 790円+税)