「はじめての日本美術史」山本陽子著
飛鳥・奈良時代の仏像をはじめとする美術は、朝鮮半島や中国の模倣から始まったという。たとえば法隆寺の百済観音像は、日本ではめったにお目にかかれない、ほっそり形。これは仏教が流行し始めた後漢から魏晋南北朝時代、漢民族の間で高貴な人や知識人の理想像が精神性を重視するなよなよした体形だった影響なのだ。
他にも、東大寺の金剛力士立像2体は運慶が属する慶派がわずか69日で造立、江戸時代に活躍した絵師・東洲斎写楽は10カ月で姿を消したなど、飛鳥時代から近代まで、誰もが知る有名作品とともにその誕生エピソードなどを解説する美術ガイド本。 (山川出版社 2000円+税)